大会長挨拶

第34回 福岡県理学療法士学会 大会長 音地 亮

第34回 福岡県理学療法士学会 大会長
音地 亮

(北九州市立医療センター リハビリテーション技術課 副理学療法士長)

「イノベーション~未来に紡ぐ理学療法のシンカ~」

今回の学会では、理学療法におけるイノベーションを探求し、未来を創り出すための議論を深めていきたいと考えています。現代の医療は、驚異的なスピードで進化を遂げています。AI技術やロボティクス、データサイエンスの発展により、医療の提供方法は大きく変わりつつあります。このような中で、理学療法もまた、新しい技術と知識を積極的に取り入れ、より効果的な治療を目指す時代に突入しています。しかし、テクノロジーの進化に伴い、私たち理学療法士には最新の技術を取り入れるだけでなく、従来のエビデンスに基づいた理学療法の本質を深化させることが求められます。それらを融合させてこそ、理学療法の真価が発揮されると考えます。また、理学療法士が未来に向けた挑戦を続けるためには、既存の枠を超えた視点を持つことが重要です。

「イノベーション」という概念は1912年に経済学者ヨーゼフ・シュンペーター氏が初めて提唱し、その後、科学技術や社会の発展の基盤として重視されてきました。日本政府でも、「第6期 科学技術・イノベーション基本計画」において、研究力の強化とイノベーションの推進を掲げており、これらは「臨床、研究、教育」という理学療法の3本柱と重なります。このような取り組みから、私たち理学療法士も社会に新たな価値を提供し続けることが求められています。

私たちが学びを止めてはならない理由は明確です。臨床家にとっての最終還元先は「患者さん」です。集中治療領域の医療が進歩し、救命率が向上する中で、命が助かった患者さんが次に望むことは、「歩けるようになること」や「社会復帰すること」です。つまり我々の担う責任は非常に重く、患者さんの人生にとってとても重要なウエイトを占めています。この役割を果たすため、質の高いアプローチを提供することは私たち全員の義務です。患者さんは理学療法士を選ぶことができないため、私たちはその責任を常に意識し、最善を尽くさなければなりません。

これまで理学療法は、時代のニーズに応じて進化してきました。今後も、私たちは多様化する社会や医療の課題に応じた新しいアプローチを模索し、理学療法の可能性を広げていく必要があります。本学会が新たな知見を共有し、未来の理学療法を共に創り上げるための一助となることを願っています。

今回は北九州での土曜日開催という新しい試みとなります。学会後には会場内でのレセプションパーティも予定しており、会員同士が意見交換し、語り合う場としてご活用いただければ幸いです。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。目指せ1,000人!100演題!